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【所得税】最高裁でふるさと納税の返礼品に課税

所得税

2025.06.24

ふるさと納税の返礼品に課税?最高裁判決で一時所得扱いに

ふるさと納税とは、「寄附金控除」で自己負担2,000円を超えた分が所得税・住民税から控除され、寄付金のお礼として地域の農産物や畜産物などが送られてくるお得な制度です。今では多くの方が制度を活用していますが、最近の最高裁により、返礼品が「一時所得」として課税対象となる判決が出ました。今回はその概要を整理します。


① 返礼品は経済的利益!

最高裁は、ふるさと納税の返礼品が「寄附の対価ではなく、謝礼として提供される経済的利益」にあたると判断しました。つまり、寄附とは別に「経済的利益」を得ていると認定され、一時所得に該当するということです。

以前から一時所得として所得申告が必要でありましたが、今回はそのルールが最高裁判決により確実になったものです。


② 一時所得の課税ルール

所得税法では「一時所得」には特別控除額が設けられており、次のように課税されます:

  • 総収入金額    = 返礼品の価額
  • 一時所得の課税額 =(返礼品価額 - 支出 - 50万円控除)÷ 2

年間に得た返礼品の合計価額が50万円以下なら課税されず、それを超える部分に課税が生じる仕組みです。つまり、返礼品の価額が寄付金額の3割だとすると、約160万円以上のふるさと納税をした場合は注意が必要です


③ 最高裁判決のポイントは?

最高裁判決では以下の点が詳細に確認されました:

  • 返礼品は自治体が調達した実費が “経済的利益の価額” と評価される
  • 消費税や送料なども含めて評価される
  • 返礼品を受け取った日付で課税時期が確定する

この判決により、返礼品の価値を正確に把握し、申告する義務が明文化されたことになります。


④ 実務対応のポイント

(1)返礼品の価値確認を自治体に問い合わせておく
返礼品の実際の調達価格を自治体に問い合わせて把握しておくことが重要です。

返礼品の相場は寄付金額の3割が上限とされており、所得計算上は寄付金額×3割で考えれば問題ないものと思われます。

(2)価額が高額なら確定申告を
年額50万円を超える返礼を受けた場合、たとえ控除対象でも、確定申告で一時所得として申告しなければなりません

(3)他の一時所得との合算に注意
なお、保険満期金や懸賞品など他の一時所得と合算して50万円を超えれば、その超過分に課税され、さらに税務署の調査対象になる恐れもあります。

(4)書類保存と申告根拠の整理
もし返礼品価額の根拠となる請求書・見積書・自治体回答などがある場合は、税務調査に備えてきちんと保存・整理しておきましょう。


やなぎ税理士事務所からのアドバイス 🌟

財務・資金管理の視点も交えて次のようなサポートが可能です:

  • 寄附予定額と返礼品価値に応じた寄附プランのご提案
  • 一時所得が発生する可能性を事前にシミュレーション
  • 確定申告時の計算・申告サポート

まとめ:制度を最大限活かすために

ふるさと納税は地域応援にも繋がる優れた制度ですが、返礼品に課税が生じる可能性があることは見落としがちです。特に年間返礼品の価値が高額になる場合は、一時所得としての申告が必要になります。

ふるさと納税は大変お得な制度ですが、まずは返礼品の価額を把握し、50万円を超える場合は課税リスクを意識。不安があれば、税理士に相談して安全なプランニングをおすすめします。

弊所では、このような返礼品一時所得リスクについても、計画的・安心なふるさと納税をサポートいたします。お気軽にご相談ください!

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