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令和7年分の路線価が発表されました

相続・贈与

2025.07.01

― 令和7年分の路線価が発表されました ―

2025年7月1日、国税庁より令和7年分の「路線価」が公表されました。
路線価は、相続税や贈与税の計算時に使われる土地評価の基準額であり、相続対策や申告実務において非常に重要な指標です。
※ 路線価の設定がない地域(倍率地域)では、固定資産税評価額に所定の倍率をかけて評価額を算出します。

国税庁の路線価図サイト(https://www.rosenka.nta.go.jp)

今回の発表では、全国的に地価が上昇傾向を継続していることが明らかになりました。特に都市部では、再開発や訪日客の回復に伴って需要が高まり、前年を上回る評価額が設定された地域も数多く見られます。

全国的な地価動向:上昇基調が続く

国税庁の発表によると、全国平均の路線価は前年に続いて上昇しました。これは、住宅需要の回復、再開発の進展、インバウンド需要の再加熱、そして長引く低金利政策が土地市場を下支えしているためと考えられます。

特に、東京圏・関西圏・名古屋圏などの大都市圏では、商業地を中心に二桁近い上昇率を記録した地点も見られ、都市部を中心に「評価額の上昇=相続税の負担増」という構図が鮮明になりつつあります。

【地域別】大阪・京都の地価はどう動いたか?

全国的な上昇傾向の中で、関西圏の主要都市である大阪市と京都市でも、地価の上昇が引き続き見られました。

▶ 大阪市の動向

  • 上昇が目立つエリア:中央区、淀川区、北区
  • 背景:インバウンド回復に伴うホテル・店舗需要、梅田・難波エリアの再開発、万博開催を見据えた都市整備

▶ 京都市の動向

  • 上昇が目立つエリア:中京区、下京区、東山区
  • 背景:観光需要の回復、町屋の宿泊施設化、地元・外資系投資の活発化

四条通周辺や祇園・清水寺エリアなど、訪日観光客が多く訪れるエリアでも、高級ホテルの建設や老舗不動産のリノベーションが進み、地価が押し上げられています。

自分の土地評価をざっくり出してみよう

相続税や贈与税の試算において、まず自分の土地が「どのくらいの評価になるのか」を知ることはとても重要です。
そこでおすすめなのが、国税庁の路線価図サイト(https://www.rosenka.nta.go.jp)を使った簡易チェックです。

✅ 自分で土地の概算評価を出す手順:

  1. 路線価図にアクセスし、住所をたどって該当地を探す
  2. 道路沿いに書かれた「320D」などの数字を確認(=32万円/㎡)
  3. その単価に土地の面積を掛ける
    例)32万円 × 100㎡ = 3,200万円(概算評価)

形状補正や奥行率など細かい調整はあるものの、概算値を知ることで「相続税がかかりそうかどうか」の初期判断に役立ちます。

土地の評価額は「特例」で大きく変わる

土地の評価額はそのまま課税対象になるとは限りません。
小規模宅地等の特例を使えば、評価額が最大で80%減額されるケースもあります。

🔹 小規模宅地等の特例とは?

一定の条件を満たす居住用または事業用の宅地について、評価額の一部を減額できる制度です。

  • 自宅の敷地(330㎡まで) → 80%減額
  • 事業用地(400㎡まで) → 80%減額
  • 貸付用地(200㎡まで) → 50%減額(制限あり)

この特例が適用されれば、3,000万円の評価額が600万円相当まで下がることもあり、相続税の納税額が大きく変わってきます。

適用には居住要件・相続人の要件・持ち分など細かい条件があるため、専門家の判断が欠かせません。

相続税の計算は「土地だけ」では決まらない

相続税は土地の評価だけではなく、以下のような資産・控除も含めて総合的に算出されます。

  • 預貯金・現金・株式・有価証券
  • 借入金や未払費用などの負債
  • 非課税財産(生命保険の非課税枠など)
  • 各種控除(基礎控除・配偶者控除・未成年控除など)

そのため、土地の評価だけを見て安心するのは禁物です。財産全体の構成・分割内容・特例適用の可否まで見てはじめて、正確な税額がわかります。

税理士による「相続税シミュレーション」を活用しよう

相続税対策をするなら、まず「今のままだとどれくらいかかるのか」を知ることが第一歩です。
やなぎ税理士事務所では、以下のようなシミュレーションサービスを提供しています。

  • 路線価と公示地価に基づいた土地評価額の算出
  • 預金・保険・株式などを含めた財産総額の整理
  • 小規模宅地の特例・配偶者控除等を反映した納税額試算
  • 不動産の分割・売却・贈与を視野に入れた節税提案
  • 遺言・家族信託・法人設立を含めた生前対策のご提案

「相続が発生する前」だからこそ選択肢が多く、対策の自由度も高まります。

相続対策は”はやめはやめ”が鉄則

令和7年分の路線価が発表されたタイミングで自分の土地や財産の価値を再確認し、相続税がかかる可能性を試算してみる絶好の機会です。

  • 地価は上がっているが、特例を活用すれば税額は下げられる
  • 評価額はわかりづらいが、調べ方は意外とシンプル
  • 不動産以外の財産も含めたシミュレーションが必要

やなぎ税理士事務所では、京都・伏見という地の利を活かし、地域に根差した相続サポートを行っています。
不安や疑問がある方は、お気軽にご相談ください。初回相談も無料で承っております。

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